噛む健康法
私たちの唾液には、様々な効果があります。
食べ物の酸やアルカリを中和する緩衝能、初期の虫歯を修復する再石灰化能、細菌を殺す消毒能、食べ物の発癌性を無くしたり、体を若返らせたりする成分も含まれています。
唾液の効果を十分発揮させるためには、しっかり咀嚼する必要がありますが、近年の食べ物の軟化によってそれが難しい状態になっています。マグロのトロや脂の多い良質の肉などは、あまり噛んでいると気持ちが悪くなってしまいます。
「噛む」刺激は、頭蓋骨を通して脳に伝わります。ホルモン中枢が多く存在する蝶形骨の脳下垂体という部分は、上顎の真上にあり、蝶形骨大翼という部分を取り囲むように、側頭筋という咀嚼筋が付着し、「噛む」刺激が脳下垂体を通じて全身の健康をコントロールしていると考えられます。
脳を活性化し、若々しく健康でいるために「噛む」ことは大変重要なのです。
良く噛んで食べるためには、多少の訓練が必要です。そして、噛んで味わいが出る食べ物を食べる必要があります。野菜中心の食べ物になるのは自然な成り行きのようです。
本来日本人が食べてきた、穀食を中心とした菜食と、少量の小魚などの肉食は、「噛む」ことに対しても大変理にかなった食べ物だといえましょう。