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虫歯の治療
虫歯の治療 〜歯医者にかかると 歯は悪くなる〜
虫歯で穴があいてしまった歯は、自然治癒しません。
だから、歯科医師による治療が必要になりますが、
「歯医者にかかれば歯は悪くなる」のは専門家の常識です。
「歯を良くする歯科治療のかかり方」を知ることが大切です。

2012年6月、癌の手術を16回も受けた方が癌で亡くなったニュースがテレビで流れました。
その方の大変さを思うと胸が痛みました。

虫歯の治療を、私たちは、生涯に何度受けるのでしょう?

癌の手術ほどではありませんが、
虫歯の治療も似たところがあります。

癌や虫歯で犯された病変部を完全に切除し、病変の取り残しが無いように、
一部、 健康なところまで切除します。
体の他の組織と違って、歯は再生しませんから、虫歯の治療を受けるたびに健康な部分も削られます。

「歯医者にかかればかかるほど歯は悪くなる」訳です。

火事で家具が燃えてしまった時、まだくすぶっているのに、家具屋に行って新しい家具を買いますか?
その前に、火を消す必要があります。

虫歯で歯に穴があいたからといって、虫歯の治療を受けるのは、間違っていませんか?
治療をする前に、やること(火を消す)があります。
当院で、すぐに虫歯の治療をしないのは、
虫歯の治療は“これを最後”にしてほしいからです。
再石灰化・レストトリートメント
初期の虫歯は、唾液によって自然治癒(再石灰化)します。
虫歯の原因のプラークを除去すると同時に、唾液を歯面にこすりつけることで、
虫歯が小さくなるのです。

急性期の虫歯の深部では、(細菌の作る酸で脱灰されて)柔らかくなっただけの部分と、細菌感染した部分との判別が難しいため、健康な(感染していない)歯質を削りすぎることがあります。
以前は、健康なかたい歯質が出てくるまで、柔らかい虫歯の部分を除去する必要があるとされていました。
歯髄が生きている歯(生活歯)では、内部から血流によって再石灰化が起こります。
歯髄に近い柔らかい虫歯の部分をわざと取り残し、殺菌剤や抗菌剤の入ったセメントを仮に詰めて、再石灰化や歯髄の保護層ができるのを数カ月程度待つ治療を、レストトリートメントと言います。
レストトリートメントでは、数種類の抗生物質を調合して用いる3MIX(MP)や、銅イオンの抗菌作用を利用するドックベストセメント、強アルカリを利用する水酸化カルシウム、フッ素を利用するグラスアイオノマーセメントなどを、状態に合わせて用います。
直接充填
  • コンポジットレジン充填
    ガラスの微粉末の入ったプラスチック(コンポジットレジン)を、虫歯を削った穴(窩洞)に詰める治療をコンポジットレジン充填(CR充填)といいます。
    歯の色に似て見た目がいいのと、比較的安価なため、初期の虫歯の治療で最も多く用いられています。
    通常は、ペースト状の材料を窩洞に詰め、青色の光を当てて固めます。(光重合)
    プラスチックは通常は抗菌性が無いことと、固まる時すこし収縮するため、注意して詰めないと虫歯が再発しやすい材料です。
  • グラスアイオノマー充填
    ガラスの微粉末の入ったセメント(グラスアイオノマーセメント)を、詰める治療をグラスアイオノマー充填といいます。
    歯の色に近いのですが、コンポジットレジンよりは不透明で、強度もコンポジットレジンより劣ります。
    粉末と液を混ぜてペースト状にし、窩洞に詰めると、数分で固まります。
    固まる時に唾液などの水分に触れると性質が劣化する時間(感水時間)があり、注意が必要ですが、硬化後は、フッ素を徐々に放出するため、虫歯の再発を防ぎ、歯を強化する長所があります。
  • アマルガム充填
    銀を主成分とした金属の粉末と水銀を混ぜて、30秒ほど専用のミキサーで攪拌すると、水銀の合金のペースト(銀アマルガム)ができ、これを窩洞に詰める治療をアマルガム充填といいます。合金に含まれる銀以外の金属の成分によって強度や耐久性が若干異なりますが、抗菌作用があり、適度な強度もあることから、奥歯の初期の虫歯治療に適しています。
    水銀の合金の為、欠けたときに出る微量の水銀の蒸気が体に吸収され、蓄積される恐れがあること、メタルアレルギーの可能性があるなどの欠点が指摘されていますが、体に害があることは証明されていません。
    欧米では、奥歯の虫歯治療に第一選択されていましたが、銀色〜黒 の色が醜いと、コンポジットレジンに変わっているようです。
間接歯冠修復
虫歯の穴を直接埋めるのではなく、削った部分の型をとって歯の模型を作り、口の外で修復物を作成し、出来上がった修復物を歯に装着する治療を間接歯冠修復といいます。
間接歯冠修復にはいろいろな種類があり、虫歯の治療だけでなく、欠損の回復などの治療でも応用されます。
修復物は、個々の歯の状態に合わせて職人が手作りで作る完全オーダーメイドです。
型をとる歯科医師の技術、製作する職人の技術によっても出来上がりが大きく変わり、歯の予後を左右します。
最近では、3D映像技術を使った光学印象で型をとり、コンピューター技術を用いたCAD/CAMマシンで短時間にセラミック修復物を削りだして作り、その日のうちに装着できる方法も紹介されています。しかし、歯茎に埋まった、歯の付け根の部分の型を光学印象で正確に取ることが難しく、歯との適合性には若干問題があるようです。
  • 金属修復
    歯の治療には、耐久性のある材料として金属がよく使われます。
    個々の歯の状態に合わせて蝋(WAX)で鋳型を作り、金属を鋳造して作りますが、鋳造のしやすさ(適合性)や口の中での安定性、安全性から、金合金が最適であるとされています。
    経済的な理由から、金合金以外の他の合金も用いられますが、物性的にはあくまで代用合金の範疇であると言えるようです。
  • 金属+審美材料
    金属の耐久性に、審美性を与えるために、見える部分に白いプラスチックやセラミックを使う修復方法があります。
    • セラミックを700℃〜1000℃の高温で焼き付けた鋳造冠を、PFM(porcelain fused metal crown / 陶材焼付鋳造冠 / メタルボンド)といいます。金属の強度と、セラミックの審美性を合わせた長所と短所があり、歯科医師と職人の知識と技術によって予後が最も左右される治療法です。
    • 白いプラスチックを金属に接着した冠を、レジン前装冠といいます。プラスチックは、口の中では十分な耐久性が無いため、経年劣化による変色などのトラブルがあります。
  • ハイブリッドセラミックス(コンポジットレジン)修復
    ガラスの微粉末(フィラー)の入ったプラスチック材料を、コンポジットレジンといいますが、フィラーの含有率を上げて強度を高め、付加価値を上げたコンポジットレジンをハイブリッドセラミックスといいます。
    従来のコンポジットレジンより強度・耐久性が上がっていますが、セラミックスには劣ります。
    セラミックスの硬く脆い性質(脆弱性)が改善されているのが、最大の利点といえます。
    材料の性質をよく理解して用いる必要があり、歯科医師と職人の知識と技術によって予後が左右される治療法です。
  • オールセラミックス
    歯の修復材料に金属を使わずセラミックスのみを用いて、より審美性を上げたものをオールセラミックスといいます。
    セラミックスとは焼き物のことで、いろいろな物質の酸化物を総称しますが、お茶わんやガラスのように硬く脆い性質(脆弱性)があります。
    PFM(メタルボンド)では脆弱性を解決するために内部に金属を用いていますが、オールセラミックスでは、ベースに、強度の高いセラミックスとして、二ケイ酸リチウム(シリカ系)、酸化アルミニウム(アルミナ系)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)などが用いられます。
    歯の色に近似させるため、調合したケイ酸ガラス材料を表面に高温で焼き固めることも多く、硬く脆い材料であることに変わりはありません。
    より脆弱性の少ない酸化ジルコニウムのみの修復物を用いる方法も紹介されていますが、生体にとって硬すぎる材料は危険性の方が高いと言う意見もあり、ウエダ歯科ではジルコニアでの修復はほとんどやっていません。
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